「疫病神」part2

六十郎の伊藤正尚です。

今年も残り僅かとなりました。まだ年賀状が終わらないのですが、寝室の整理整頓を家内から厳しく指導を受けて先に片付ける事になりました。平素は、仕事の資料や指示書を読む事が優先されますが、寝る前に違う物を読みたくなる為、ついつい文庫本が山積みになっています。それらを片付けるていますが、今年一番読んで面白かった黒川博行だけで14タイトルありました。文庫で上下巻の作品もありますので20冊弱になります。

黒川博行は、2014年上期に直木賞を受賞しました。彼は高校の美術の先生でしたが、1983年に暇つぶしで応募したサントリーミステリー大賞の佳作を受賞し、その後大賞を受賞を機に作家に転身します。1996年に初めて「カウント・プラン」で直木賞候補になり、以後、五回候補になりましたが受賞出来ず、2014年の六回目で受賞となりました。当初は、ミステリー小説が中心でしたが1997年発売の「疫病神」頃からピカクレス小説にも幅を広げています。

2014年に直木賞を受賞した「破門」は、1997年に発売した「疫病神」シリーズの第五作目でもあるのです。つまり、シリーズが始まって15年以上経ってからの受賞になる訳です。特に、2001年に発売したシリーズ第二作目の「国境」の評価は高く、この作品で受賞してもおかしく無かったかと思います。ただ、「国境」の舞台が北朝鮮で、当時、拉致問題が表面化した頃であった事も影響してか、残念ながら受賞に至りませんでした。

「疫病神」シリーズは、二人の主人公の速射砲の様な大阪弁の掛け合いが人気の源泉です。しかし、最初の「疫病神」では、二人の掛け合いもややぎこちなさがあります。よって、15年の月日が二人の会話に円熟味を加えた事は間違いありません。以前にも書きましたが、大映映画『悪名』から二人のイメージを借りたとも言われています。よって、“八尾の朝吉”と“モートルの貞”をイメージしながら読み進むと「疫病神」シリーズは、より楽しめます。

では。(2015,12,28)
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