「異類婚姻譚」

六十郎の伊藤正尚です。

徳川家康の故郷は、今の、豊田市松平町です。徳川と改姓する前は松平で、家祖は、松平親氏です。松平親氏は、清和源氏の新田氏の支流で時宗の僧侶として松平郷に流れて来て、松平郷の領主の婿養子になり松平親氏と名乗った事になっています。所謂、“貴種琉璃譚”となっています。徳川家康が天下人となり、征夷大将軍になる為には源氏の系統でないといけない為、遡って家系図を整えなければいけなくなります。その際に、親氏が貴種(高貴な身分)であって欲しかったのかもしれません。

貴種琉璃譚は、日本だけでなく世界的にも英雄や支配者の出生話に付いています。ギリシャ神話の時代から例が見られる様です。子供の頃、時代劇や小説に出てくる“夜伽”がわかりませんでした。“脇差等を娘に与えて立ち去り、後日、脇差を持参した若武者が苦戦する城主等を助けてメデタシメデタシ”のパターンが多い様です。分け与える高価な脇差や扇子等があるのなら流浪しなくても良い気がしますが、流浪しなければ物語になりません。変型としては、眠狂四郎が夜伽の際に襲われるシーンが有名ですね。全国各地を流浪する貴種がそんなに多くいるかは不明ですが。

今年の芥川賞受賞作に「異類婚姻譚」があります。“異類婚姻譚”も、世界中にあります。多くの場合、父親が人間以外の生物です。市川雷蔵の『剣鬼』は、お姫様と犬の子が剣の天才として活躍する話です。本谷有希子さんが書いた「異類婚姻譚」は、華々しい活劇ではありません。内容をここに書く事は出来ませんが、不思議な話を上手く書き上げた事で芥川賞となりました。ただ、本谷有希子さんのご主人は、話の結末に困惑された様です。勿論、私も困惑しました。

芥川賞と直木賞では、大衆文学が対象の直木賞受賞作品が読み易い訳です。賞の性格上致し方ありませんが、最近の芥川賞受賞作の様に技巧に走った小説に読者が付いて行けなければ、やはり、作家としての寿命は短い気がします。映画のアカデミー賞も、近年、作品賞を取った作品に興行成績が悪いので存在意義が無いのではとの意見がある様です。“貴種物”にしても“異類物”にしても、その物語が面白いので今日に伝わっている訳です。面白く無い作品に意味があるのか考える、一大衆のボヤキでした。

では。(2016,02,26)
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