「大映京都撮影所の遺産」(日本経済新聞)

六十郎の伊藤正尚です。

この3月までNHKで放映されたテレビ時代劇『ちかえもん』が面白かった様で、家内が終わったのを悲しんでいます。私も予告編等でほんの少し観ましたが、テレビ時代劇にしてはセットにも力が入っていた記憶があります。その舞台裏を3月15日から4日連続で日本経済新聞に連載された「大映京都撮影の遺産」で知りました。何と、89歳の元大映京都撮影のスタッフが『ちかえもん』のセット制作に関わっていた様です。

30年前の1986年に元大映京都撮影は、完全閉鎖されました。1927年に映画製作が始まり、黒澤明監督が大映で撮った『羅生門』等のグランプリ映画や市川雷蔵の『眠狂四郎』シリーズなどの時代劇が制作されました。スタッフの技量の高さは日本映画界一と言われていました。他社の時代劇では撮る箇所だけセットが組まれますが、大映京都撮影では撮らない箇所もセットが組まれたとも言われています。

その大映京都撮影で、1954年から亡くなるまで市川雷蔵は、溝口健二監督、伊藤大輔監督、市川崑監督、山本薩夫監督等の指導を受け、名手宮川一夫キャメラマンのカメラで数々の名作に出演しました。宮川一夫キャメラマンはカメラだけでなく、市川雷蔵が一番良い姿を監督に助言もしています。それは、後ろ姿です。映画のラストは主人公の後ろ姿で終わるシーンが多いのですが、市川雷蔵の後ろ姿は名キャメラマンも唸る美しさだった訳です。

市川雷蔵の晩年の傑作『ひとり狼』のオープニングでは、カッパに三度笠のヤクザ姿の市川雷蔵が力強い足取りで歩く姿を後ろから撮っています。その後ろ姿にウィリー沖山の主題歌が重なるだけで、痺れます。そんな映像を大型スクリーンで堪能したいのですが、今は叶わぬ夢です。幸い、YouTubeで古い大映時代劇を観る事が出来ます。今夜は市川雷蔵の『眠狂四郎 無頼剣』でも探し、大映京都撮影のスタッフの秘技を観たくなりました。

最後まで読んでいただきありがとうございます。
では。(2016,03,29)
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